推定に用いたのは官兵衛が死去した直後に描かれ、実物に最も近いとされる福岡市美術館蔵の肖像画「黒田如水像」。肖像画の目の横幅を測定し、当時の日本人男性の平均値を当てはめた上で、肖像画の縮尺を算出した。同様に上腕の長さを推計し、解剖学で用いられる身長を推定する数式に当てはめて計算した。
矢崎さんが推定した身長は、官兵衛の物とされる甲冑などの武具から推定される1メートル60前後という数値とも合致しているという。
身体の各部分の長さや身長との関係を「人体比率」という。解剖学や芸術分野で測定され議論されている。レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「ウィトルウィウス的人体図」というのがある(↓)。人体は神が作ったものということで、様々な体の長さが相互に関連しているという。例えば、
- 腕を広げたとき、中指の両端の距離は身長にほぼ等しい。
- 顔の縦の長さを考えたとき、中央の高さに両目がある。
- 頭頂から眉毛まで、眉毛から鼻下まで、鼻下からあごまでがほぼ同じ長さである。
- 両目の間隔は、目の横幅に等しい。
- 耳の高さは、ほぼ鼻の下から目尻までである。
- 口の横幅は二つの瞳の距離に等しい。
- ウエストサイズは首まわりの約二倍
- 耳の長さは顔の1/3と等しい
- 肩幅は身長の1/4と等しい
- 胸の中心から頭頂までの長さは身長の1/4と等しい