6月25日、ナイジェリアのラゴスの空港で倒れた40代のリベリア人男性を検査した結果、「エボラ出血熱」の感染が確認された。男性は、隔離中に死亡した。
エボラ出血熱は、今まで都会から離れた村で流行することはあったが、常に隔離されてきた。しかし、今回アフリカ有数の人口の多い大都市であるラゴスで感染が確認されたことで、感染拡大は必至で、もはや制御不能の状態。
今月5日には、スペイン神父が感染し、スペインに移送された。また、アメリカ人も2名感染して、アメリカに移送された。これで、アメリカ大陸、ヨーロッパにエボラ患者が初めて上陸することになった。
WHOによると、エボラ出血熱は3月以降に西アフリカで流行し、過去最大規模に拡大。ギニア、シエラレオネ、リベリアの3カ国で感染が確認または疑われる死者は先月20日までに660人に上った。
エボラウイルスは出血熱の病原ウイルスのひとつ。高熱、嘔吐、出血、下痢などの症状を伴い、進行すると全身から出血が見られるようになる。致死率は最高90%。血液など体液との接触を通じて感染する。治療法やワクチンはまだない。コンゴ民主主義共和国の小さな川の名から名付けられたこの熱帯性ウイルスには、治療薬もワクチンも存在していない。
西アフリカには、葬儀の際に遺体を手で洗う風習があり、それが感染拡大につながったとされる。感染した人が恐怖心から医療施設に入るのを拒んだりすることも、事態を悪化させているという。
アフリカから遠いので、日本には関係ないと思うかもしれないが、今、日本企業は、中国に追いつけ追い越せでアフリカに進出を始めている。同じ熱帯の感染症のデング熱やマラリアの感染者が日本でも増えていることを考えると、近い将来かならず日本にも上陸するだろう。情報を共有して来たるべき日に備えておく必要がある。