世界で使われる抗生物質の量の大部分は、人の医療のために使われているのかと思いきや、畜産動物の飼育に使われている。
日本の場合、厚労省によると年間の抗生物質使用量は、約1400トン。そのうち、800トンが動物用医薬品、100トンが飼料添加物、残り500トンがヒト用医薬品となっている。
世界的には、抗生物質の使用量は中国がダントツで全体の50%を占める。中国は世界人口の20%もいるが、それに比しても抗生物質の使用量は異常に多い。使用量は年間18万トン。
中国の場合も、抗生物質は畜産動物の飼育に主に使われている。食肉も問題だが、動物の糞尿を川に直接垂れ流すので、抗生物質で海まで汚染される。
牛、豚、鶏などの病気の発生を防ぐために使われる抗生物質は、動物体内にも残るので、食肉は抗生物質で汚染まみれになっている。
抗生物質の多用は、抗生物質に耐性の細菌を生み出すことになる。細菌は環境に適応するため、突然変異により変化することができる。
私たちの体の中は栄養がいっぱいなので、細菌が感染するとどんどん増える。病院で処方してもらった抗生剤を飲むと細菌の増殖を抑えることができるが、耐性菌だった場合抗生剤が効かない。
抗生物質を今後も多用していると、2050年までに世界中で毎年1000万人が耐性菌によって死ぬだろうと予測されている。これは、癌による死亡者数の820万人よりも多い。