ヒトや動物は食べた脂質を「リパーゼ」と呼ばれる酵素で分解して、腸から吸収している。脂質をとりすぎて肥満になるのを防ぐには、リパーゼの働きを抑える方法が一つの手段。海外では、リパーゼ阻害薬も普及しているが、肝炎などの副作用があった。
長岡教授らはリパーゼにだけ結合して働きを邪魔するたんぱく質(抗体)を、ニワトリを使って作ることに成功した。まず、ニワトリにブタのリパーゼを注入してリパーゼ抗体を作らせる。その後、親鳥の抗体が濃縮したタマゴの黄身を精製し、得られた成分を健康食品として利用する。この成分をエサに混ぜたマウスと、混ぜないマウス各8匹を35日間飼育したところ、混ぜた方が体脂肪率が平均1・6%低かった。また、この成分が脂質の分解をどれくらい妨げるかを調べたところ、茶カテキンの15倍、リパーゼ阻害薬の2倍、効果が強かった。
イーダブル社は、健康商品としての製品化も視野に、今後はヒトでの効果を確かめていくという。(参考:朝日新聞)
同じような話は、花粉症対策で、ダチョウの卵を使う話がある。ダチョウも涙目になって花粉症にかかるが、体で作られる花粉に対する抗体は卵に濃縮される。卵からこの抗体を精製し、マスクにしみ込ませて利用するというアイデアだ。