2021年12月25日土曜日

コロナワクチン3回めを打つ意味



12歳以上の日本人の78%がコロナワクチンを2回接種を終了している中,変異度が増したオミクロン株が欧米でガンマ株に置き換わりながら,感染者が急増しています。イギリスでは過去最大の感染者数になっています。

第6波は間違いなく来るでしょう。このような状況の中,日本政府は,3回めの接種を医療従事者から始めています。

副作用のリスクのあるワクチンを2回も打ったのに,また打たないといけないのでしょうか?

ワクチンを打つと,ウイルスに対抗するための抗体が,接種後1週間くらいから血液中に増え始め,2週間くらいでピークになり,その後数ヶ月かけて減少していきます。

コロナウイルスに感染すると,ウイルスが体の中である程度増えた後に発症します。熱が出たり,咳が出るわけです。感染から発症までが潜伏期間で,平均はコロナウイルスCovid-19の場合4.82日(標準偏差2.71)。

2回めのワクチンを打ってから多くの人は3ヶ月以上経っているので,血液中の抗体はかなり減っていて,もう感染はあまり防げません。

ただ,ワクチンを打っている私たちの体には免疫記憶を担当している細胞がいて,ウイルスに感染すると再び抗体を作れるようになります。2回めのワクチン接種でも同じように免疫記憶で抗体がブースト(増える)されるわけです。

免疫記憶というのは,例えば,破傷風のワクチンを子供の時に打つと,破傷風に感染しても一生破傷風で死ぬようなことはありません。

それなら,コロナのワクチンを二回も打てば,感染した場合,血液中に抗体はほとんどなくても,すでに免疫記憶はできているので,新たに抗体が作られ,ウイルスを撃退できるはず。

ここで問題になるのがウイルスの潜伏期間。コロナウイルスの潜伏期間の平均値は4.82日(標準偏差2.71)。血液中に抗体がほとんどない状態から新たに抗体が出現するまでには,1週間かかります。ウイルスに感染してから4日で発症するので,それには免疫記憶による抗体産生は間に合わないということになります。

要するに,免疫記憶による防御は感染を防ぐことはできないということ。感染には間に合わないが抗体を作り始めるとウイルスを撃退し始めるので,重症化は防げるというわけです。

3回めのワクチン接種で血液中の抗体をブーストできても3ヶ月しか持たないとしたら,次の感染の第6波にうまく合わせないといけないでしょう。これは,国民の多くにワクチン接種するのに3ヶ月かかることを考えると,不可能に近いです。

イスラエルでは、ワクチンの4回め接種を開始することが決まりました。このように,接種後血液中の抗体が3ヶ月しか持たないとしたら,延々と打ち続けないといけないことになります。

コロナに対する飲み薬が利用可能になってきています。ちょうどインフルエンザの飲み薬であるタミフルのように,感染直後に飲むことで発症を軽減できるそうです。ただ,治験が十分でない見切り発車なのが気にかかります。

現在広がりつつあるオミクロン株は感染力が高い一方,感染しても重症化リスクは半分だそうです。DNAの変異は感染力に関わるスパイクタンパク質だけでなく,ウイルスの生存に関わる遺伝子でも変異するので,第7波のウイルスの株はさらに毒性を減じていくことが予想されています。

第6波が1ー2月にあり,第7波が4ー5月,その次が7-8月と考えると,夏頃には新型コロナウイルスも普通の風邪ウイルスになると,期待したいです。

さて,冒頭のワクチンをまた打たないといけないのか?の答えですが,2回めで副作用が多く出た人は,医者と相談してやめておいたほうが良いです。

そうでない人は打てば,しばらくの感染リスクは減らせる効果は期待できるので,国民の多くが摂取すれば全体への感染が広がりにくくなることがメリットです。政府の狙いもそこにあります。仕方がないので,打つことにしましょう。






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