2020年6月13日土曜日

虫が光に集まるワケ



暑くなって来て,家庭菜園の野菜につくカメムシや他の虫がだんだん増えて来ています。

多くの虫には,走光性といって光に向かう性質があります。

虫の眼は個眼が集まった複眼からできていて,光はそれぞれの個眼に入って脳で情報処理されて像になります。人の眼では眼球の奥の網膜にたくさんの視細胞がいて,それぞれが感じた光の情報を視神経で集めて脳で画像化されるので,結局は複眼と同じ。

「飛んで火にいる夏の虫」というくらいで,どうして虫には走光性があるのでしょうか。これには3つほど仮説があります。

1つ目は,コンパス仮説。夜間の光は人類がいないころには,月明かりしかなかったワケです。虫は月の位置を目印にして自分の位置を把握して一定角度で飛んでいたのですが,人が作り出す人口の光や火があると,月と間違ってそれをコンパスにして飛ぶことになり,光源に向かって螺旋状に飛ぶことになります。

2つ目は,光源のすぐそばは明るさの段差が大きく,光源から比べて極端に暗く見えるというマッハバンド効果が起こります。影に隠れる性質のある虫は,この暗く見える領域(光源の周囲)に向かう性質があるため,光源に向かうことになるというものです。

3つ目は,明るい光源に,まさに走光性を示すという考えです。ただ,この仮説だと,虫は月や太陽に向かってみな飛んで行くことになりますので,どんどん上には向かわないで飛ばないといけないようになっているのでしょう。

虫を誘引する光の波長は,紫外光と緑色の光です。特に紫外光には強い誘引作用があります。そこで,最近のLED電灯は紫外線を出さないようになっていて,虫を寄せ付けにくくするようになっています。

家庭菜園で,野菜に虫が来ないようにするには,紫外線をカットするビニールシートを傘になるようにすると,食虫被害を防ぐことができます。

ところで,誘蛾灯は,虫の走光性を利用して,集まって来た虫を電撃死滅させるものですね。

走光性についての参考は,ココ



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