2013年10月9日水曜日

ノーベル賞医学生理学賞2013

スウェーデンのカロリンスカ研究所は、 9月7日、2013年ノーベル医学生理学賞を、ジェームズ・ロスマン教授(米国、エール大学)、ランディ・シェックマン教授(米国、カリフォルニア大)、トーマス・ズートホーフ教授(米国、スタンフォード大)の3人に授与すると発表した。受賞の対象となった発見は「細胞内の主要な輸送システムである小胞輸送の制御機構の発見」。ちなみに、昨年のノーベル医学生理学賞は京都大学の山中伸弥教授らである。

細胞の一番外側は細胞膜という脂質(あぶら)でできた膜でできている。細胞内でまず小さな(やはり脂質でできた)袋が作られ、これが最終的に細胞膜まで来て融合する。小胞のなかにインスリンが入っていれば、細胞膜と融合するとインスリンが細胞外に分泌されることになる。この小さな袋は小胞と呼ばれ、上の例では、細胞内で作られたインスリンが小胞に入って細胞膜まで移動するのが小胞輸送。

シェックマン教授は、酵母を用いた実験から、小胞輸送調節に関わるタンパク質を発見した。ロスマン教授は、この膜融合に関わるタンパク質を発見し、膜融合の仕組みを解明した。ズートホーフ教授は、小胞輸送による神経伝達物質の放出に関わるタンパク質を発見した。基礎研究での受賞だが、小胞輸送に関与する多くの病気が知られており、医学的応用が期待される。




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