今年7月、台湾で野生のイタチアナグマ3頭の死体から、狂犬病感染が報告された。現地紙『聯合晩報』によると、9月22日現在でイタチアナグマ143例、ジャコウネズミ1例、そして犬にも1例の狂犬病感染が報告されている。この感染報道で、台湾は“狂犬病パニック”になって、ペットショップの8割ほどが開店休業状態に追い込まれた。しかしこれは対岸の火事ではない。日本にも迫ってきている。
ウイルス感染症「狂犬病」は、世界中で年間約5万5000人が死亡しており、アジアでさらに拡大している。毎年、中国では狂犬病で2000人以上が死亡(公式発表)している。その上、中国の犬への狂犬病予防接種率は極めて低い。インドなど他のアジアでも同じ状況で、シンガポール、台湾、日本のみが狂犬病感染が長い間報告されていない国であった。その牙城の1つの台湾で感染が確認されたことになる。日本でも飼い犬が約1300万匹いるが、狂犬病の予防接種実施率は、わずか40%。そして、猫やハムスターなどの小動物に至っては完全にノーガード状態。
狂犬病は、人間に感染してもすぐには発症しない。2、3年潜伏期間を持つ。ウイルスが脳に達して発症すると、恐水症状(水を恐れる)、恐風症、恐光症状、興奮状態が続き、麻痺が起こり、一時的な錯乱を繰り返す。このような状態が平均7日ほど続いた後、力尽きて死に至る。致死率はほぼ100%。
感染を防ぐためには、あまり普及していない予防接種以外には野生動物にはうかつに手を出さない、動物に触ったら石けんで手をよく洗うなどしかない。(参考HP)