先に背景を整理すると,2021年から,大学入試センター試験が,名前を変えて大学入学共通テストに変わります。
この新テストでは,今まで回答がマークシートだったのが,国語,数学で記述式が導入されます。また,英語は,センター試験で「読む」「聞く」の2技能が評価されていたのに加え、「話す」「書く」も含めた4技能が評価の対象。
英検など,英語の民間試験はすでにこの4技能の試験をやってきている経験があるので,民間試験を用いることになっています。複数の民間会社で受験することになるので,会社ごとに試験問題が異なり,難易度が異なるという不公平さも予想されます。
また,受験料も会社によって異なるのも問題。5,000円から25,000円と幅があります。また,試験会場が首都圏に限られるものもあり,地方の受験生にとっては,都会に行って受験するとなると交通費や宿泊費も必要なので高くつくことになります。
高校3年の4~12月に受けた最大2回の成績が、出願先の大学に提供されるので,たくさん試験を受ければ受けるほど点数は上がるはず。
このことを踏まえて,
萩生田文部科学大臣は、先週「裕福な家庭の子どもが回数を受けてウォーミングアップできるというようなことがあるかもしれないが、自分の身の丈に合わせて2回をきちんと選んで頑張ってもらえれば」と発言したわけです。
経済的に回数を受けられない,特に地方の学生はかなり不利な訳ですが,これを「身の丈に合わせて」と切り捨てたのが大問題。
教育の機会均等は,日本の根幹。貧しくても優秀な子供は教育を受けさせて伸ばすことをしないと日本の未来はないでしょう。
大臣は,後日「どのような環境下にいる受験生も自分の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて適切な機会をとらえて、2回の試験を全力で頑張ってもらいたいとの思いで発言したものだった」
と弁明していますが,受験生に不安を与えた時点で,文部科学大臣としてはすでにアウトでしょう。