2015年8月18日火曜日

知らなかった蚊取り線香の歴史が面白い

蚊取り線香キンチョウの歴史がなかなか面白い。商標名の金鳥の方が有名だが、会社の名前は、大日本除虫菊株式会社。

和歌山県の上山英一郎は、1886年に福沢諭吉から紹介されたH.E.アモアより除虫菊の種子を譲り受ける。最初は粉末状で、ノミ取粉として使われ、火にくべて蚊などの駆除にも使われた。改良を重ね、1890年に世界初の棒状蚊取り線香「金鳥香」が誕生した。

仏壇に使う線香のように立てて使ったのだが、点けてから40分ほどで消えることや倒れて火災が発生することが問題になった。

現在の渦巻き形の蚊取り線香は、1895年からで、上山の妻ゆきの発案という。渦巻き形にすることで、安全性が増し、燃焼時間が長くなった。渦巻きの全長は75cmで、一度の点火で7時間使用できる。(現在はさらに長いもの、短いものもある)

除虫菊の原産国は地中海のセルビア。日本に伝わったあと、国内の主産地は広島県因島市(現尾道市)だった。現在は除虫菊の有効成分であるピレスロイドが人工合成できるので、電気蚊取りやスプレーとしても使われてきている。

ピレスロイドは、昆虫類・両生類・爬虫類・魚類の神経細胞上の受容体に作用し、Na+チャネルを持続的に開くことにより脱分極を生じさせる神経毒。哺乳類・鳥類の受容体に対する作用は弱いので、ヒトには安全性の高い殺虫剤。

ちなみに、現在の蚊取り線香は、本当の除虫菊を使っている特別のものもある(↓)が、安い分は線香にピレスロイドを染み込ませたもの。なんとなく昔から使っていて、自然のものを使っていると思ったら、フェークだったわけだ。

蚊取り線香は、子供のころから使っていたのでその煙の匂いは嫌でもなく、むしろなぜか落ち着くが、今は庭作業する時に使うだけで、家の内では電気蚊取りを使っている。発展途上国では、デング熱など蚊の対策のために金鳥の蚊取り線香はよく売れているという。


金鳥



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