ヒト体内の器官のうち最も老化が早いのが,卵巣。女性は30才を過ぎると卵巣の質が低下し始め、卵子やその元になる卵母細胞の染色体異常がみられるようになるといわれている。また40才が近づくとその質はさらに急降下する。
特に,卵子内のミトコンドリア機能の低下が卵子の質低下をまねき,結果不妊につながると考えられている。
そこで,卵母細胞になる前の卵原細胞から新鮮なミトコンドリアを取り出し、発育異常の卵に移植し,受精率や妊娠率を上げる方法が最近報告された。質の悪くなった卵子のミトコンドリアを刷新して元気にさせるというものだ。
この方法を体外受精に何度も失敗していたカナダの母親に試みたところ,健康な男児が生まれたという。
今回の方法は,効果や安全性に関する科学的な裏付けが欠けており,子供への長期的な影響も懸念されるので,簡単に利用するのは危険だろうが、研究が進めば安全な高齢出産も可能になるかもしれない。
他にも方法もあって、年齢の若い時期に卵子を採取して液体窒素の中で保存しておくことができる。この方法では、いつでも解凍して使えるので、劣化がない卵子が高齢になってからでも使える(以前のBlog参照ココ)。