2015年7月16日木曜日

「母乳」をネット販売 詐欺?

今年2月、第1子の男の子を産んだ母親が、母乳が出ないのを心配して、わらをもつかむ思いでネットで売っている母乳を買って、子供に与えた。

その後、白い粉のようなものが浮いているのを見つけ、なめると母乳より甘みが濃いような気がして、そのまま捨てたという。

これを聞いた新聞社が複数の検査機関で、取り寄せて分析したところ、少量の母乳に粉ミルクと水を加えた可能性が高い偽物と判明した。栄養分は通常の母乳の半分程度だった。

レンサ球菌など細菌も検出され、その量は通常の母乳の1000倍だった。免疫力の低い小児らが摂取すれば、敗血症などを引き起こす恐れがあるレベル。

さらに、母乳にはないたんぱく質「βラクトグロブリン」が検出された。乳アレルギーの子供が飲めば強い反応が出るレベルで含まれていたという。

「もらい乳」は、昔からある習慣だが、「母乳」ネット販売業者はそれをビジネス化していた。HPでは母乳の使用目的は母乳風呂やせっけんなどの用途となっている。しかし、今回のように実際には乳児用に買う人が多い。

厚労省は、「母乳」ネット販売に注意勧告を出した。乳幼児に飲ませると、病原体や化学物質等が母乳中に存在していた場合、乳幼児の健康を害する恐れがあるとのことだ。

現在の粉ミルクは優れているが、母乳にはかなわない。特に初乳には、分泌型免疫グロブリンA、ラクトフェリンなどの成分が多く含まれ、新生児の喉や消化器官に免疫力や殺菌力を与える。ただ、多量の母乳が必要なわけでない。出ない分は粉ミルクで補っても問題ない。

母乳の販売は規制されていないが、適正な衛生管理や細菌、ウイルス混入の問題もある。献血と同じような信用できる機関や制度を作るのが必要ではないだろうか。欧米では、そのような「母乳バンク」があり、母乳のでない母親に提供されているという。


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