大人に使えても子どもには使えない薬はいくつもある。ことし2月、東京の東京女子医科大学病院で、2歳の男の子が子どもへの使用が禁止されている麻酔薬を投与されて死亡した。この病院では、去年までの5年間に、同じ薬が63人の子どもに使われ、このうち12人がその後、死亡していたことが明らかになった。
2歳の男の子は、集中治療室で子どもへの使用が禁止されている麻酔薬「プロポフォール」を投与されたあと容体が急変して死亡した。
プロポフォールは、GABAという神経伝達の受容体に結合して、麻痺を引き起こすことで麻酔効果を持つが、副作用もある。マイケル・ジャクソン は、プロポフォールの過剰投与による副作用が原因で心停止を起こし50歳で亡くなった。
死亡した男の子の母親は、「病院側はこれまで私たちに死亡事例は確認されていなかったと説明していた」「息子の容体が悪化しても、主治医は『安全な薬だから大丈夫です』と言っていた」という。
この病院では、去年までの5年間に、同じ薬が14歳以下の子ども63人に使われ、このうち12人が、投与から数日から3年の間に感染症などで死亡していた。病院側は「因果関係はないが、詳しく調査したい」としている。
子どもは、薬を分解し肝臓や腎臓の機能が十分ではないため、体内に長く残ってしまい、脳などへの副作用の危険性が高くなる。これらの臓器が大人並みに成長する目安の年齢が15歳。このため、今回の麻酔薬は子どもへの使用が禁止されていた。
これらの臓器が大人並みに成長する目安の年齢が15歳。14歳以下でも、量を守れば大人と同じ薬が使える場合もあるが、今回のように15歳になるまでは、投与してはいけない薬もある。
医者が処方した薬は信用するしかないので、今回の事件は問題が大きい。このような医療ミスは事件になっている分だけでも枚挙にいとまないぐらいある。
最近は病院の格付けなども利用でき、セカンドオピニオンという考えもあろう。しかし、大抵の人はかかった医者や病院を信じるしかない。第3者によるチェック機構で各病院の医療を監視するようなシステムが必要ではなかろうか。