今月3日、長崎市茂里町の長崎新聞文化ホール内で食事をした市内の高校生や保護者、学校関係者ら約70人のうち、高校生18人、保護者4人の計22人が下痢や発熱、腹痛などを訴えた。「鶏ささみレア焼き」からカンピロバクターが後で検出された。
カンピロバクターは、動物や鳥類など腸にいる。これらの糞により汚染した食肉、牛乳、野菜からヒトに感染する。鶏肉の汚染率は20~40%と報告されている。牛レバーで11%。たたきや生で鶏肉を食べる時は覚悟すること。汚染されていても匂いがない。
潜伏期間が2~5日と比較的長いことから、原因となった食品が残されていないことが多く、原因が特定されない場合も多い。菌数100個程度を摂取することにより感染が成立するという。
症状は、下痢、腹痛、発熱、嘔吐、頭痛など。多くの患者は1週間で治癒するが、時には重症化する。また、カンピロバクターに感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症する場合がある。
通常の加熱調理(中心部を75℃以上で1分間以上加熱)を行えば菌は死滅する。若齢者、高齢者のほか抵抗力の弱い人は、生肉やたたきは避けた方がよい。
イギリスでは、調理前に鶏肉を洗う習慣がある。これは、菌を周囲に飛び散らせ、手や衣類の他、周囲に危険な細菌を拡散させる。英食品基準庁(FSA)は、現在鶏肉の洗浄反対キャンペーンを熱心にやっているという。