「生物農薬」という言葉をご存知でしょうか? 昆虫などの生き物を農薬として用いること。いわゆる「化学農薬」に対する言葉。アブラムシは野菜、果樹などの害虫だが、その天敵のテントウムシを放して、アブラムシを減らそうという方法。化学農薬は、アブラムシを効率よく退治できるが、野菜に農薬が残存するので、人体に入ることになる。
広島県の近畿中国四国農業研究センターが、飛距離の少ないものを約30世代にわたって選び続け、飛ばないテントウムシの品種を10年かかって作った。飛んで逃げたりしないので、しかっりアブラムシを退治してくれるという。
屋内限定の「生物農薬」として登録され、茨城県のメーカー・アグリセクトが最近発売を始めた。
テントウムシの飛ばない性質は遺伝的に劣性。このため、逃げ出して自然界の飛ぶ個体と交配しても、飛ばない性質は発現せず、生態系を乱す心配がないという。
うん?ちょっと待った。やっぱりこれは問題。なぜなら、劣性でも、もしこのテントウムシの方がずっとご飯をたくさん食べられるかもしれないので、成長には有利に働き生存に強かったりすると、将来、テントウムシは飛ばないものばかりになるやもしれない。これだけなら問題なさそうだが、生態系を乱さない保障はない。やはり隔離して使用するべきでは。。(個人的意見ですが)
飛ばないテントウムシは、先端技術の遺伝子操作することで羽のないものも作られている。しかし、羽がないテントウムシというのは、グロテスクでなにか罪悪感を感じる。
他にも高校生たちが飛ばないテントウムシに挑戦している。こちらは、テントウムシを育てていて、接着剤で羽を開かないようにするというもの。大人の専門家では考えつかないグッドアイデアに久々に脱帽した。
「生物農薬」はまだまだ進化途中で、害虫マメハモグリバエに対する寄生蜂であるハモグリコマユバチを利用するなどが知られている。また、害虫ネコブセンチュウに感染する細菌を散布する方法など、化学農薬を使わず、体にやさしい「生物農薬」だが、環境への配慮が難しい面もある。