植物しか食べない牛や羊のような草食動物と違って、私たちヒトは、植物を食べても栄養にすることはできない。では、どうして草食動物が利用できるかというと、腸内細菌が植物のセルロースを溶かして糖に換えてくれているから。
草食動物は、腸内細菌と共生して初めて生きていけることになる。
最近の研究で、海藻を消化する腸内細菌が見つかった。興味深いのは、日本人にしかないことがわかったこと。この腸内細菌は海藻の細胞壁を溶かす酵素を持っているので、海藻を消化できる。
昆布やワカメなどの海藻を食べる習慣は、西欧にはない。日本人は何世代も海藻を食べてきている間に、海藻を溶かす細菌を腸内に維持できるようになったのかもしれない。
実際、このストーリーはもう少し複雑で、海藻に付着した海洋性細菌がヒトの腸に棲むようになったのではなく、海洋性細菌の酵素の遺伝子を腸内細菌が獲得して酵素を出せるようになったらしい(Nature)。
ということで、日本人は海藻を栄養に換えることができるようなので、海藻を食べてもダイエットにはならないということになる。