さまざまな生き物のスケッチの絵だが、その作品の完成度の高さは芸術の域にあり、アール・ヌーヴォーやユーゲントシュティールなど20世紀初頭の芸術や建築にも大きな影響を与えた。
ヘッケル(1834〜1919)は、ドイツの博物学者で、チャールズ・ダーウィンの進化論を支持し、「個体発生は系統発生を反復する」という「反復説」を唱えた。
「反復説」では、ある動物の発生の過程は、その動物の進化の過程を繰り返す形で行われるというもので、人の胎児も最初はエラを持った魚のような形をしていることなどから考えられた。
ヘッケルは観察力に優れていたようで、生物の新種もたくさん発見していて、さまざまな生き物のスケッチを画集として残している。
クラゲのスケッチ画(↓)は、触手がまるで女性の髪の毛のようで独特の美しさを醸し出している。
また、王室の王冠などの装飾かと思えるホヤのスケッチ画や、顕微鏡でしかみれない微小な放散虫の絵をみてほしい(↓↓)。生物が持つ対称性の美しさに感動する。
生物が多様化・進化する過程で、効率的な生き方を求めて、自分の形を変化させる様々な試みをしてきたのがよく分かる。