肉の細胞にはミオグロビンという赤い色のタンパク質がある。これは、赤血球に含まれるヘモグロビンというタンパク質と構造がよく似ていて赤い色をしている。いつもは褐色に近い色だが、酸素を結合すると鮮やかな赤色に変わる。
肉屋さんはそれをよく知っているので、肉をカットしてから空気にさらして、赤くしてからトレイに入れてパック詰めする。
ところが、全部にそんな面倒くさいことはしていられないので、パックの上にくる肉だけそのようにして、内側の肉は赤くないままというのもある。
また、挽肉の塊の中を見てみると、表面だけ赤色ということはよくある。内部の肉を空気に触れさせておくと赤くなるはず。
それでは、赤くないのがよいかというと、鮮度が落ちても褐色になってくる。この場合、空気に触れても赤くならない。
お店でパックの外から見ただけで新鮮さを判断するのに、色は当てにならないことが分かったが、他に見分ける方法はないのでしょうか。
専門家によると、
- 表面につやのあるもの
- 脂肪の色は、白色または乳白色
- 赤みと脂身の境目がはっきりしているもの
- パックに肉汁が出ていないもの
肉を取引する専門家の間では牛肉の格付けははっきりしていて、2つの等級が使われいる。 1つは歩留(ぶど)まり等級(ランクはA,B,C)で、もう1つは肉質等級(ランクは1,2,3,4,5)。
歩留まり等級は、生体から取れる枝肉(売れる肉)の割合が大きいほどC,B,Aと高くなる。一方、肉質等級は「脂肪交雑」、「肉の色沢」、「肉のしまりときめ」、「脂肪の色沢と質」について総合的な判定をして、1から5のランク付けをする。この中で、「脂肪交雑」というのは「霜降り」度のこと。
おもしろいのは、専門家も見た目で判断していることだ。2つの等級を組み合わせてA3というように表示する。最高ランクは、A5になる。