「トキソプラズマ原虫」は、多くの動物や鳥が持っている寄生虫の一種。動物(特に猫)の体内や排泄物、土の中などにいることがあり、人にも感染する。
日本の場合、妊婦健診で陽性に出る人は10%程度。欧米での陽性率は高く、とくにフランスの場合は約80%。生肉や生ハム、サラミなどのお肉をよく食べる食生活が関係しているといわれている。ある統計によると、世界人口の3分の1が感染しているという。
トキソプラズマに感染しても、ほとんどの人は免疫が働いてほとんど症状は出ない。出た場合でも、リンパ腺が腫れる、熱が出るなど、風邪に似た軽い症状。
しかし、妊婦が感染すると、原虫は胎盤を経由して胎児に感染し、重篤な病気となる。生まれた子供は、運動発達や精神発達の遅れ、視力障害が起こるなどの先天性トキソプラズマ症を発症する心配がある。
トキソプラズマは、寄生性原生生物の1種で、長さ4-7μmの半月形の単細胞生物。生活環は有性生殖期と無性生殖期からなり、有性生殖はネコ科の動物の腸内でのみ起きるが、無性生殖はネコ科を含む幅広い哺乳類や鳥類で行われる。したがってネコ科動物が終宿主、その他の動物は中間宿主である。
主な感染ルートは、ネコの世話、ガーデニングなどの土いじり、食事では、生肉(牛刺し、レバー刺し、鳥刺しなど)やレアステーキ、生ハム、サラミなど。いずれも経口感染。妊婦はこれらを避けることが大事。