2012年、ワシントン大学医学部の研究者たちは、舌の味蕾(みらい:味を感知する器官)に脂肪分子を感じる化学受容タンパク質CD36があることを発見した。
脂肪の味をどれほど敏感に感じるかは、人によって異なる。CD36を多く持っている人は、その半分のCD36しか持っていない人より脂肪味に8倍敏感であることが分かった。
このCD36は人の肥満に深く関っていて、脂肪の味に対して敏感になっている人は、脂肪の少ない食品でも満足でき、体重増や肥満が少ない傾向にあるという。
なぜ脂肪に対して敏感な人と、そうでない人に分かれるのかは不明だ。それを解明できれば、無理なく食事での脂肪摂取を抑える方法を開発でき、肥満や糖尿病などの食事指導にも役立てられる可能性がある。
現代社会では、高脂肪の食品を容易に入手し消費できる。高脂肪の食品を食べ続けることで、脂肪に対して味覚が鈍くなっている可能性がある。その結果、高脂肪の食品を食べすぎてしまうおそれがあるという。