2014年3月15日土曜日

STAP細胞のリケジョ 顛末 何が悪かったのか

1月末、新聞1面の大ニュースが発表された。理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子博士らが、様々な臓器や組織の細胞になる新たな万能細胞としてSTAP(スタップ)細胞を作製することに成功したことを有名学術雑誌「Nature」に発表した。

「万能細胞」は、様々な組織や臓器の細胞に分化させ、再生医療に応用することが可能になるので、夢の治療として多くの難病患者が特に期待している。

この発見は、2012年ノーベル賞を受賞した山中伸哉博士の人工多能性幹細胞(IPS細胞)を超えるもので、若干31歳, 理系の女子「リケジョ」による快挙とされた。(このblogでも快挙を讃えた

マスコミは、白衣の代わりに割烹着を来ているとか、研究室にピンクのグッズが多いとか、研究内容に関係ない美人リケジョの様子を大きく報道し始めた。

研究成果発表後、彼女の研究の追試が、世界中各所で行なわれたが、再現できないというクレームが出てきた。一方、Natureに載せた論文の図が、彼女の博士論文の使い回しで、かつその博士論文の細胞はSTAP細胞の図ではなかったことが、ネット上で暴露された。この時点で、ねつ造疑惑は、疑惑でなくなった。

そして、今週に入って、その論文の共同研究者が論文の撤回を申し出た。昨日は、彼女が所属する理化学研究所が説明したが、まだ調査中とのこと。

この一連の報道で、本人がねつ造論文を書いたことは間違いないが、それだけならこれだけ大きなニュースにはならなかった。理化学研究所が大々的に宣伝し、マスコミを煽った結果、抜き差しならぬ事態になってしまった。

つい先日には、彼女の博士論文の序説がアメリカの研究機関のホームページをコピペしたものであることもニュースになった。以前から彼女が不正を働いていたということが言いたいのだろうが、STAP細胞の論文とは無関係なので、マスコミも明らかにやりすぎている。

昨日のニュースで、このような論文ねつ造の不正に対して、「やってはいけないと思っていなかった」との本人からのコメントには驚いた。研究者として最も大事な倫理を、母校の早稲田大学は教えていないことになる。

理化学研究所は、年間予算850億円の税金を使う国の基礎研究所。政府は、STAP細胞の報道を契機に、理化学研究所を「特定国立研究開発法人」に決定する予定だったが、先送りした。「特定国立研究開発法人」に選ばれると、国から巨額の予算がつくことになっていた。

理化学研究所は、この予算獲得を狙って、十分な検討もせずに、STAP細胞を目玉に、そして若い小保方さんを前面に出してしまった。最大の責任の所在は、理化学研究所にある。研究所の存在意義そのものを問われかねない不始末と思う。

早稲田大学も、博士学位の出し方、学生の教育について、再考を迫られるだろう。

小保方さんの身分はユニットリーダーということだが、5年任期ということで、研究成果を焦っていた可能性が高い。研究は十分な精神的余裕と時間が必要なもので、成果を急かせるシステムも問題であろう。

未だに不明なのは、STAP細胞そのもが存在したかどうかである。本人しか成功していないので、彼女が口を開くまで不明のままだ。もしSTAP細胞が存在しないで、彼女の狂言であるのであれば、1ヶ月前の報道で、多くの難病に苦しむ人たちの期待や、リケジョとして基礎研究をやってみようと夢みた若者たちの希望を打ち砕いた罪は大きい。

先日の、現代のベートーベン、佐村河内守氏に対する落胆と同じものを感じてならない。