大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョンア)副社長が引き起こした航空機の「ナッツ・リターン事件」は、全世界で報道され、この女性副社長の横暴な態度にあきれるとともに、韓国の未成熟な側面を露呈したと酷評している。
事件は、12月5日、アメリカ合衆国・ジョン・F・ケネディ国際空港から韓国・仁川国際空港に向かう大韓航空86便が離陸準備に入っていた時に起こった。ファーストクラスに座っていた趙氏が、客室乗務員が機内サービスのマカダミアナッツを袋ごと出したことに激怒した。
「機内サービスがなっていない」として、マニュアルの確認を求めたが、そこで客室乗務員が時間を要したため、趙氏は激高した。ついには滑走路へ向かっていた同機を搭乗口まで戻させ、責任者を下ろしてしまった。
大韓航空の経営は、韓国の10大財閥(サムスン、ヒュンダイ、LGなど)の1つに入る韓進(ハンジン)グループが担う。趙氏はその副社長。父親の趙亮鎬が会長で、娘が誤った行動をしたことに頭を下げ「自分を叱ってほしい」とテレビの前で頭を下げた。趙氏は副社長を辞める結果になった。
これが「ナッツ・リターン」事件の全貌。
韓国社会は、財閥を中心にした格差社会になっているので、このような財閥関係の横暴には報道サイドも敵対的だ。報道後には、問題の客室乗務員に、「マニュアルを熟知していないため趙副社長が怒ったが、暴言はなく、自分から降りたと話せ」と強要したとの報道も出ている。横暴はまだ続くのかもしれない。