線虫は、体長1mmくらいの細い形をした生物で、人に寄生するカイチュウ、松枯れ病を引き起こすマツノザイセンチュウ、土壌にいて農作物に被害を与えるネグサレセンチュウなど様々。使われたのは、シー・エレガンスという研究の実験によく使われる線虫。
発見の端緒は、サバを食べたヒトがアニサキス中毒になり、胃カメラで調べてみると胃壁にとりついたアニサキスが胃壁のガン組織にもぐり込んでいた。ガン組織からなにか化学物質が出ていて、アニサキスはこれに向かっていったと思われる。
線虫には、そのような物質に向かって進む性質があるらしい。そこで、ガン患者の尿を線虫のそばに置くと、その方向に向かって集まってきた。この反応を使えば、ガンかどうかは、尿を1滴使えば、線虫が当ててくれることになる。
なにか、祈祷師のまじないのようだが、ガン発見率は、95.8%と高確率という。これは、現在行なわれている血液採取による腫瘍マーカー検査よりも高い精度だ。
どんな物質がガン細胞から出ているのか分かれば、もっとモダンな科学的方法も使えると思うが、線虫をちょうど麻薬犬のように使って、ガンを当ててもらうのはユニークな発想。