2015年12月23日水曜日

自然界最強ボツリヌス毒素 顔のしわとりにも

インフルエンザの予防接種や血液製剤の不法製造が問題になっていた化血研(化学及および血清療法研究所)が今度は、生物兵器にも使用可能な「ボツリヌス毒素」を無届けで、外部に運搬していたという。

外部への運搬は法律(感染症法)で定められていて、危険な毒素を持ち出す時には、県公安委員会に届ける義務があり、違反すれば罰則もある。

「ボツリヌス毒素」は、土壌中のボツリヌス菌が作り出す毒素で、致死量わずか0.7〜0.9μg。1gで約100万人分、100gで日本の人口分の致死量に相当する。その毒性は自然界最強。

「ボツリヌス」の語源はラテン語の「腸詰め、ソーセージ」という意味で、19世紀のヨーロッパでソーセージやハムを食べた人の間に起こった食中毒だったため。

この毒素は、我々の体に入ると、神経と筋肉の連絡に関わるシナプスでの伝達を阻害する、いわゆる神経毒の仲間。フグやヘビの神経毒とは作用する分子が違うが同様に神経の麻痺を引き起こす。

しかし、この毒素は、毒にもなるが薬としても使える。斜視、眼瞼痙攣、小児脳性麻痺患者における下肢痙縮など、異常収縮を繰り返す筋肉を弛緩させることで治療できる。

また、顔のしわとりなどの美容整形でも、しわを引き起こす筋肉を弛緩させるために、顔に毒素を注射する方法がある。注射するとみごとにしわがとれてすべっとする。ただし、効果は半年しか続かないので、くりかえし注射する必要がある。

化血研は、薬害エイズ事件で、汚染された血液製剤を製造・販売して多数の被害を生じさせた製造元の1つ。

今回は、先日の事件の後でもあり、隠蔽しなかった点はよかったと思うが、連続する不祥事には呆れざるをえない。このような様々なアブない薬剤を扱っている会社なのだから、常に第3者による確実なチェック体制が必要と思う。

ところで、1歳までの乳幼児には蜂蜜を与えてはいけない。その理由はボツリヌス菌やその毒素が高い確率で混ざっているため。通常の大人は問題ないが、免疫の弱い乳幼児では危険なのだ。


ハチミツ


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