全米で議論をよんだ報道の話。末期がんで余命半年と宣告され、安楽死を予告していた米国人女性のブリタニー・メイナードさん(29)が1日、予告通りに自ら死を選んだ。自宅のベッドで家族に囲まれ、医者から処方された薬を飲んで、安らかに息を引き取ったという。
メイナードさんは、カリフォルニア州で夫と新婚生活を送っていたが、1月に脳腫瘍と診断を受け、手術を受けたものの余命半年ほどと宣告された。夫妻はその後、合法的に安楽死を迎えられるオレゴン州に転居した。
「11月1日に死にます」と動画サイト「ユーチューブ」で尊厳死宣言をのせた。
先月26日に夫の誕生日を祝った後、1日にベッドの上で、夫や家族にみとられながら服薬により安楽死すると宣言。「自殺とは違う。自殺ならとっくに服薬していた。自分の思い通りに死にたい」と心情を吐露した。
ソーシャルメディアでは「自殺を美化している」との批判や「穏やかに、計画的に死を迎えるのは個人の権利」との支持が交錯して、波紋をよんでいた。
メイナードさんはソーシャルメディアに、「ひどい痛みがあるが、これ以上の苦しむ前に尊厳死したい」「世界は美しい場所。旅は私の最高の先生で、親友や両親は多くを与えてくれた。これを書いている時もその人たちに囲まれている。さよなら世界のみなさん。よいエネルギーを分かち合って」などと最後に書いた。
日本では、メイナードさんの場合、引っ越しできるぐらい体が動き、自身で薬を飲むことができる状態なので、安楽死というより医師による自殺幇助(ほうじょ)となる。日本では認められていない。