2015年6月5日金曜日

死につながる 過呼吸のまちがった処置

TVドラマなどで、過呼吸になった人が紙袋を口に当て、その中で息をしている様子をみたことはないだろうか。この過呼吸対処の方法(ペーパーバッグ法)は、まちがっていて死につながる可能性があるという。

過呼吸は、正確には過換気症候群という。精神的に緊張したり、不安になった時に、息ができないような錯覚になって、必要以上に息を吸ってしまう。酸素を必要以上に吸うと、血中の二酸化炭素濃度が減少して血液がアルカリ性に傾くため、息苦しさを覚える。

こうなると、延髄が呼吸を停止させ、血液中の二酸化炭素を増加させようとする。一方、大脳皮質は、呼吸ができなくなるのを異常と感知し、さらに呼吸させようとする。これらが悪循環になって発作がひどくなっていく。

以前は、酸素をたくさん吸い込むのが問題だということで、紙袋を口に当てて息を吸うことで酸素量が減るので、過呼吸が解消されると考えられた。これが、ペーパーバッグ法の原理。実際、救急法として教育された人もいるかもしれない。

ところが、この方法を使って、お亡くなりになる人がいることが分かってきた。原因は窒息死。

実は、過呼吸というのは、酸素の吸いすぎではなく、二酸化炭素が不足した状態ということが分かってきた。

二酸化炭素不足になると、全身の血管が収縮する。特に、脳の血管が収縮する。その結果脳からの神経の伝達がうまくいかなくなり、頭痛が起きたり、めまいが起きたり、手の痺れや筋肉の硬直が起こる。大脳皮質は息ができなくて苦しいと感じてしまう。結果、呼吸しなければと焦ってしまう。これが過呼吸の状態。

ペーパーバッグ法は、二酸化炭素を増やすように思うかもしれないが、実際には大した効果はなく、息荒く呼吸してしまうので、さらに過呼吸を進めてしまうという。

過呼吸の正しい応急処置としては、呼吸のリズムを整えさせ、1回吸っては、2回吐く、それも10秒くらい時間をかけてゆっくり行なう。これで、二酸化炭素不足を解消する。

ただし、中高年の過呼吸には、胸の圧迫感や痛みを伴う肺塞栓、心筋梗塞、強い頭痛を伴う脳出血、くも膜下出血などもあり、この場合は一刻も早く救急車を呼ぶことが必要。

ペーパーバッグ


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