2014年5月11日日曜日

ギョウ虫検査、座高測定が小学校でなくなる 大丈夫?

文部科学省は、先月30日、同省令の学校保健安全法施行規則を改正し、学校での健康診断の項目から座高測定と寄生虫卵検査を外した。これに伴い、半世紀以上続いてきた座高測定も寄生虫卵検査も2015年度限りで廃止される。

座高測定は戦時体制下の1937年、「胴長は健康」と考えられて始まった。徴兵の際の身体検査が学校に影響したとみられる。戦後も小中学校や高校などで続けられてきたが、以前から「測定に意味がない」「結果が活用されていない」など、関係者の間で実施を疑問視する声が出ていた。

一方、寄生虫卵検査は1958年に始まった。小学3年生以下に義務付けられ、今も肛門にセロハンテープを貼ってぎょう虫の卵の有無を調べる「ぎょう虫検査」(下図↓)を実施している学校が多い。

昭和20年代には寄生虫の保卵率は全国民の70~80%もあり、寄生虫症は結核と並んで「国民病」と言われていた。しかし、昭和50年代には、化学肥料の普及と下水道など衛生環境の整備が進んだことに加え、集団検便や集団駆虫の普及により寄生虫の感染率は1%以下に激減した。

さて、1%というのは、まだまだギョウ虫に感染している子がいるということなので、だいじょうぶなのだろうか?

ギョウ虫は体長がオス2-5mm、メス8-13mm程度、乳白色で細長い形をしている。虫の卵は卵型で直径40μm程度であり、通常の室内環境で数週間生存し感染性をもつ。

成虫は、ヒトの盲腸に寄生し、肛門の括約筋が弛緩する睡眠中に肛門の周辺で産卵を行う。このときギョウ虫の活動や、分泌する粘着性物質によってかゆみが発生するため、手でかいてしまい、その手に付着した虫卵が他の人にうつる。口から取り込まれた卵は、十二指腸で孵化し、盲腸で数週間ののち成虫となる。

症状は、致命的なものはなく、夜間のかゆみにより寝不足となったり、落ち着きがなくなったりする。 肛門を掻いた跡が炎症化する場合もある。

治療にはメベンダゾールやパモ酸ピランテルによる駆虫が行われる。しかしこの方法では虫卵を駆除することができないため、期間をおいて複数回の服用が必要。同時に、卵からの再感染を防ぐため、洗濯、清掃や日光照射で卵を除く必要がある。



















ギョウ虫


広島ブログ